IBM、世界初のCell Broadband Engine搭載のスーパーコンピューターの開発に着手
リリース:IBM、世界初のCell Broadband Engine搭載のスパコンの開発に着手 – Japan
米国ワシントンD.C. 2006年9月6日(現地時間発)、米国エネルギー省国家核安全保障庁(National Nuclear Security Administration:NNSA)は、Cell Broadband Engine(Cell B.E.)プロセッサーの強力な処理能力を活用して、最高で毎秒1,000兆回の演算速度(1ペタフロップス)を持続的に発揮する世界初のスーパーコンピューターを設計、構築するためのパートナーとしてIBM(本社:米国ニューヨーク州アーモンク、会長:サミュエル・J・パルミサーノ、NYSE:IBM)を選んだと発表しました。
開発コードネーム「Roadrunner(ロードランナー)」は1万6,000基以上のAMD Opteronプロセッサー・コアと1万6,000基以上のCell B.E.(Broadband Engine)プロセッサーにより、最大能力1.6ペタフロップス(毎秒1,600兆回)を超える画期的な演算速度を見込んでいます。これが実現されれば最大演算速度が「世界最高」となります。
このコンピューターは、商業的に利用されているハードウェアを全面的に利用するとともに特別に設計され、基本ソフト(OS)にはLinux、AMD Opteron技術を搭載したIBM System x 3755サーバーは、Cell B.E.技術を採用したIBM BladeCenter Hシステムと組み合わせて配置されるとのこと。
機能の特徴
Roadrunnerのハイブリッド・デザインによって、複雑な数学の方程式をセグメント化し、最も効率的に扱うことができるシステムのパートに各セグメントを配分することが可能となります。典型的な演算プロセスやファイルIO、通信はAMD Opteronプロセッサーによって処理され、より複雑で反復的なエレメント(従来はスーパーコンピューターのリソースの大半を消費していた)は1万6,000個以上のCell B.E.プロセッサーに割り当てられます。元来、大量のグラフィックス処理とリアルタイムの応答性が重要であるゲーム用プラットフォームとして開発されたCell B.E.プロセッサーは、大量の数学的問題を処理するRoadrunnerを高速化するために理想的なチップです。
Cell B.E.プロセッサーは、IBM、ソニー株式会社、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント、株式会社東芝によって共同開発されたもので、今秋発売予定のPS3に搭載されるCPUパッケージです。
リリースの通り、ゲーム用CPUがスーパーコンピュータに採用されるのは前代未聞でもありますが、かねてよりPS2はスーパーコンピュータ(のような)程度の性能があり、輸出規制にもなっています(特に中東関連への輸出で事件になったことがあります)。これは、映像演算や算術演算性能により軍事転用が出来、核兵器開発にも使われると行ったことからであります。今回開発されるスーパーコンピュータも核兵器の模擬実験に使用されるとのことです。
ゲームチップは高性能な画像処理、そして内部の高速算術演算がなければリアルタイム処理が出来ません。そのことからも、かなりシビアといえるでしょうし評価につながった事でしょう。ゲームでの演算はスカラー演算だけでなくスーパーコンピュータに要求されるベクトル演算を素早く的確に行う必要があるわけですから。
さて、こういった事が重要というわけでもなく(これはこれで重要なのですが)。スーパーコンピュータといえばメジャーどころは、IBM、クレイ、旧DEC、SGI、NEC、富士通ではないでしょうか。とかく、NECが地球シミュレータを納入した頃から、米国コンピュータ産業・軍事産業での危機感が強まり、国策として世界最速のスーパーコンピュータ開発が進められています。
今回の開発は、世界平和・軍備強化といったこともですが、国策としての国力としての意味合いも強いと私は判断しています。