いろいろと難しいコムスン問題(ビジネス編)。
で、事業としてどうなのかは介護編でも触れたので、コムスンをビジネスとしてとらえた場合のことを簡単に見ることにしましょう。親会社であるグッドウィル・グループは黒字です。ピンハネ屋ですから、黒字になれない方がおかしいでしょう。システムもやり方もおかしいと思いますが。
さて、コムスンの事業の立ち行きがおかしくなってきたというのは、本体も幹部もわかっていたことでしょう。だからこそ、不正受給なんてしちゃっていたのでしょうから。それでも赤字なんですよね、ここ。
決定打とも言えるのは介護報酬削減の政策でしょう。馬鹿な厚生労働省の政策に関連したビジネスをしている時点でリスキーだと思いますが・・・。あとは、ユニバーサルサービスと24時間看護でしょう。これがなければそれなりの待遇と利益は出せるのではないかと思います(何となくですが)。
さて、世間風はグッドウィル/コムスンに冷たいですが、内容を見ていくと情状酌量の余地はありそうです。むしろ(クズの)日興コーディアルよりかはマシ。
ところで、この一連の騒動は「良くできている」という声もちらほらと聞こえてきます。裏にある年金問題もそうですが、コムスンの赤字体質が親会社であるグッドウィルの業績に影響を及ぼしかねない状態になっている現状、切り離し(売却)が検討されていたのは想像に難しい話ではないでしょう。
今回の騒動により、グッドウィルは「切り売りも可」と態度を軟化していますが、今まで提供してきた介護サービスの性質上、一括でなければ世間の批判(社会的批判、社会的責任)により厳しい状況も出ています。
そして、グッドウィルは簿価での売却を基本としています。或る意味、一番おいしいとこ取りをしているのはグッドウィルでは無かろうか・・・と。当然ながら、コムスンの立ち上げに集めた300億は株式市場ですから、コムスンの問題はグッドウィルの株主の問題でもあります。ただ、このように簿価での売却が行われれはグッドウィルとしての投資損失は羽成低減されることでしょう。むしろ、利益が出ているのではないかと思います。
実際はどうかわかりませんが、子会社が金融機関から融資を受ける場合本体保証を付けることが多々あります。これは保証債務として処理しますが・・・。
一連の処理が済めば、赤字でお荷物だったコムスンを処分できたグッドウィルの一人勝ちの状態になっている未来も予想できます。
ただ、グッドウィルが提供している(お世辞抜きで胡散臭い)人材派遣サービスの実態なども問題となり、それ自体が重大なリスクとなっています。本来はレピュテーショナル・リスクのコントロールが必要なのですが、グッドウィルの場合は、風評ではなく事実ですから・・・。
今回はコンプライアンス違反という重大な問題と、それを組織的に行っていた問題、そして隠避していた問題というのが浮き彫りとなりました。そして、これらは突発的に公知となったために、企業のリスク管理が働かないのも事実でしょう。