[記事/自動車産業]トヨタの田原工場で最高品質を生み出すラインを見た

トヨタの田原工場で最高品質を生み出すラインを見た (池原照雄の「最強業界探訪–自動車プラスα」):NBonline(日経ビジネス オンライン)

 詳しくは記事をご覧いただきたいモノです・・・。
 さて、この工場、一台当たり83秒という組み立てラインのタクトスピード(1台が組み立てられるスピード)だそうです(量産車で通常60秒前後)。しかも、ハイブリッド車を含む「LS」「GS」「IS」を、2直操業で1日670台もラインオフしているそうです。小売価格ベースで試算すると1日当たり50億円前後・・・。
 そりゃ儲かるはずです。
 さて、トヨタの物作りについては専門分野ではありませんが(ちなみにトヨタ自体好きでもないですが・・・)、研究開発から現場での改善とフィードバックなどの点はかなり評価しているつもりです。当該記事にも出ていますが、「デジタルカメラが1台当たり1200コマの撮影を行い、10秒程度で微細なキズの有無をチェック」とか、「塗装ロボットが操作するガン(塗料の吹きつけ口)の動きは、試験で認定された「レクサス技能師」や「同技能師補」の操作を再現」とかいうのは、簡単そうに見えても(見えるのか?)、かなり難しいものです。その精度とスピードタイミングなどかなりの難度だと思います。
 これらをやってのける企業体力と技術力はさすがです。
 で、トヨタウェイの根幹が「「知恵と改善」、そして人材育成を柱とする「人間性尊重」」らしいのですが、自動車工場勤務者の声を考えると本当にそうだろうかと悩んでしまいます。
 皆さんもご存じの通り、自動車工場などのラインはプロパーの数は少なく、ほとんどが協力会社からの派遣社員や業務委託先の社員やそれらのアルバイトでまかなわれています。当然ながら、自動車工場だけでなく半導体工場などもしかりです。
 某亀山工場を担当している職安には日々求人票がでていても、それがきれることがないという理由として、工場勤務が激務であったり安いということも理由としてあげられます。つまり、定着率が悪い。結局は現地で人を集められにくくなっているので、他の地方都市から引っ張って来るという自体になっています(地方の求人情報を見ると「愛知県で~」というものが多数或る)。
 自社の人材育成を柱とする「人間性尊重」と言うように「自社の」という主語(?)を入れることによってはっきりする世界です。つまりはどうでも良いところは他に押しつける、ということ。
 こういう事で失業率の改善とか、技術立国日本の地位向上なんていってもらっても困るわけです。
 実際に改善したり、それによって生計を営んでいる人がいるのも事実ですから、全てを害とは言いませんが、どうせなら直接雇用率を工場現場作業員の50%以上にするとかにした方が良いのではないのでしょうか。まぁ、自社で扱うと死亡事故や負傷事故の多い自動車工場では労災など大変なことになるのが目に見えているので躊躇するかもしれませんが(笑)。