iPhoneが映した世界(1)。

 AppleのiPhoneが登場し、世界でフィーバー(?)が起こり、出荷数100万台と言われる状況になっています。
 日本のケータイ市場で出荷数100万台でヒットと言われる時代は既に終演(正しくは「終焉」ですが)をとなり、多種展開する時勢に変わりました。今までは横並び的な機能志向だったものが、デザインを発端とした「個」にシフトしたわけです。日本でも300万円クラスの高級携帯が登場するようになってきましたので、時代は動いているわけです。
 さて、iPhoneは当初粗利50%とアナリスト予想が出ていましたが、最新の予想では55%とふざけたようなレベルになっています。数の原理もあり、調達コストの低廉とブランド力による価格維持が出来てこそでしょう。
 どんなに頑張ってもMSの80%には敵わないわけですが・・・。
 Appleは消費者の視点に立った(UIを含むデザインと)製品開発による成功もあります。ただ、現状の仕様を見ると「どうよ?」というモノもあります。日本のケータイに慣れ親しんでいるとおそらくスペック不足感が否めません。「iPod+電話=iPhone」と割り切れれば素敵な製品ですが、「iPod+日本のケータイ電話≠iPhone」であることで、そのまま持ってきても受け入れられるかは非常に疑問になってきます。例えばiAppliとモバイルFeliCaが無い時点で個人的に厳しい。
 とかく日本でiPhoneが出るかどうかは置いておいて、日本で展開する上でのハードルを考えてみよう。日本のケータイキャリアの品質試験(特にドコモ)は世界的に厳しいので有名。これに耐えられるかどうか。そして、日本ユーザが使用しているレベル以上の機能が欲しい。今のiPhoneの電話帳なんて日本で提供したら「不良品」扱いされてしまう。MMSに非対応と言うのも改善しなければならない。他に一番キーとなる通信方式の問題もある。
 そして、日本はキャリアが端末を販売する方式が採られている。AppleがキャリアにOEMとして製品を提供すると言うことだ。自社提供を徹底しているAppleにとって、どうなるだろうか? Appleがサポートしても通信からなにやらの質問窓口サービスをできるだろうか? 日本のキャリアは、キャリア主導であるが為にショップを窓口としたワンストップサービスを提供している(他社アプリを除く)。
 こういった問題も「キャリアと端末を分けるべきと言う答申」が出るほどだから、変化するかも知れないが、一体だったからこそ成長したモバイルコンピューティング市場とモバイルコンテンツ市場があるのも忘れてはいけないだろう。でなければ、ドコモのimodeライセンス事業なんてとうの昔に破綻していただろうし、ボーダフォンライブというサービスも生まれなかったと思う。
 さて、iPhoneにもSIMカードが入っているがどうも取り出せないらしい・・・らしい? 取り出せなければいわゆる2G時代になってしまうのでは?